JOURNAL

神さまとお茶。人の集う場所としての神社 / 百重の会 vol.2

百重の会(ももえのかい)とは、
ももとせとゲストが重なるお茶の時間のこと。
人・場所との出会いでどんなお茶時間ができるのでしょうか。

第二回目は神さまとお茶。
いつもお世話になっています、神楽坂 赤城神社さまで開催される、
七夕文化祭のお茶席を担当しました。

今回のゲストは大和花道家元の山田尚俊(やまだ・しょうしゅん)氏と、
「茶で人を結ぶ」をコンセプトとしたTea Knot代表の三窪笑り子(みくぼ・えりこ)氏。

このメンバーでのお茶会は2回目。
気心知れた仲間たちと事前に目的を共有し、
室礼や道具組み、お菓子などを相談。
予想される酷暑と、七夕であることも加味しながら場を作りました。

この日のはなのテーマは「依代」。
七夕らしく、天の川にも見立てられたはなは高さが3mほどある大作。
隈研吾氏デザインの拝殿まで見てほしいという思いから、
視線が自然と空間へ向くように高い作品にしたそう。
確かに作品を目で追うと、その先にある天井の意匠なども目に入り、
空間自体のすばらしさにも気づける作品となりました。
目線をもコントロールしてしまう作品と、その考え方はさすがです。

道具組みは三窪さんと相談しながらアイデアを広げました。
赤城神社さまが以前使っていた古い木桶は、神事の時に手水の水受けにしていたもの。
こちらを風炉に見立て、神社の白洲からおかりした白い石を灰の代わりに。
雲龍釜に見立てた、三窪さんが命からがら持ち帰ったというインド産の金属製の缶。

仕上げは京都から持ってきた梶の葉を浮かべて涼やかに。
氷水を入れると汗をかき、その水が水盤に落ちるという、奇跡も起こり、
とても爽やかな席となりました。

お菓子は三窪さんお手製の索餅(さくべい)と、京都 松屋藤兵衛の珠玉織姫。
索餅は昔、七夕に食べられていたという、中国から伝わったお菓子(唐菓子)。
そうめんの先祖ともいわれています。
噛めば噛むほど味が出てくる、素朴な味が印象深いお菓子です。
手間と時間をかけてつくられたお手製のお菓子は、より心に響きますね。

茶入れは三窪さんのもの。
イギリスで手に入れたという小物入れ。
旅に出ると、お抹茶を入れる蓋物を探してしまうのは、茶人の性ですね。

茶碗は赤城神社をイメージしてデザインされたうつわ。
アスリート陶芸家・遠州流茶人としてご活躍の山田翔太さん作。
山田さんは、初回の赤城神社でのお茶会でご一緒した方です。
そのご縁で奉納されたこのうつわは、今では宮司さんの宝物だとか。
大切に使わせていただきました。

この二日間、鈴木宗那さんにもお手伝いいただきました。
楽しい、明るい彼女のおかげで、席がとても爽やかに、楽しい雰囲気になりました。
美しいお点前と、とても興味深いお話の数々。
和やかな空気をまとっていました。

神事の傍らでの茶席も。
祝詞を聞きながら、神聖な気持ちになれました。

ただただ、目の前のお茶時間を楽しいものにしたいという想いで集まった茶人たち。
目的を共にしているので、流派は関係ありません。
お互いに茶人として尊敬しあい、信頼できるからこそ、
お客さまに集中できます。
素晴らしい茶人と水屋のスタッフ、そして美しいおはなのおかげで楽しい二日間となりました。

この記事を読んでくださったみなさまも参加者です。
すべての方々に御礼申し上げます。
ありがとうございました。

[茶の湯]