JOURNAL

はなとお茶。小さな茶室に詰め込んで。/ 百重の会 vol.1


百重の会(ももえのかい)という企画を始めます。
ももとせとゲストが重なるお茶の時間を始めます。

第一回目はいけばなとお茶。
わたしが大好きないけばなとお茶のコラボイベントです。


今回のゲストは高崎に本部がある、いけばな松風(しょうふう)の塚越応駿(つかこし・おうしゅん)氏。
塚越氏は代々続く、いけばな松風の家に生まれ、
大学卒業後、表現の幅を広げるため渡英しフラワーデザインを学びました。
帰国後、都内および京都市内のホテルでウェディングなどの花装飾業務に携わり、
様々な経験を積んだのちにいけばな松風へ。
多くの若手アーティストとのコラボ活動を通し、はなの可能性を模索するいけばなアーティストです。


今回のテーマは「軽重」。
軽い、重いと、二面性のものをたくさん盛り込みました。


床の間の掛け軸は「瀧」。
滝壺で舞い上がる水をいけばなで表現。
重く落ちる水と、軽く舞い上がる水。


はなはお客さまの目の前でライブでいけます。
はなが土にあったころの立ち姿を思い浮かべながら、
かたちを決める。
枝葉を落とす理由、バランスの取り方など、
はなをいける考えやテクニックを解説していただきました。


はないけの後はお茶。
お茶を点てながら、いけばなや茶道を生涯学ぶことの大切さ、
日本文化の根底の楽しさや面白さを共有します。


茶は火を使う風炉と茶釜、抹茶を飲む碗以外は、
植物である木製のものを。
熱が隣のはなに影響を与えないように、
風炉は木のテーブルの端に配置。
そのため、逆勝手になります。


お菓子は桐生香雲堂製の葛焼き。
銘は「軽重」。


表面は焼かれているので乾いていますが、
断面は瑞々しい。
2層に分かれ、水と川底が表現されています。
光が透ける、爽やかな美しいお菓子。


床の間の大作は時の経過とともに
光や影の様子が変わり、1日見ていても飽きない作品。
野や山で採取してきたという自然の植物たちは野性味溢れ、
その個性を最大限に引き出すはないけは圧巻でした。


コラボは相互作用があって面白いですね。
当初予定していたものからお互いのアイデアで変化を続け、
最終的にすばらしい時間が出来上がりました。


このようなイベントはかなりのチャレンジでしたが、
お客さまみなさまに受け入れていただき、安心いたしました。

ももとせは「はじめてのお茶会」のような茶道体験会だけでなく、
このようなアート表現に近いお茶も続けてまいります。

[茶の湯]