JOURNAL

呑龍文庫ももとせは開店10周年を迎えました

呑龍文庫ももとせは、
2011年3月5日に、仲間たちが集い、語る場所としてオープンしました。
開店から1週間後に東日本大震災という時期でした。

ももとせは亭主である私を中心とした人々のたまり場としてスタート。
週末のみ東京から太田へ通い、
カフェという形で、アートやデザインを語る場所として活用していました。

当時は地域活性に興味があり、
仲間を増やそうと空間をシェアしたり、
街づくりの団体に所属したりしました。

その後、本格的なアートギャラリーを目指し作家の展示を行ったり、
カフェらしくしようと営業日を増やしたり、
伝統産業分野のメーカーを救いたいと物販や企画展を開催したり、
人に伝統を伝える場所にしようとトークショーやイベントを企画したり。
様々のことにチャレンジしてきましたが、
その都度、理想と現実のギャップ、自分の力不足を感じました。

最初は私と妻二人での土曜日のみの営業でしたが、
初代店長の相楽が仲間となり、キッチンを改装。
平日もお店を開けることができるようになりました。
二代目店長の石山の時代に、カフェとしてのメニューや商品のベースを作り、
そして、三代目である現店長の真尾が収益化を目指し、
ももとせがよりお店らしく成長するよう、今も努力を続けています。
歴代店長たちの活躍があってこそ、今のももとせがあるのです。

この10年でたくさんのことを経験をし、仲間も加わり、できることが格段に増えました。
今でも自分たちはどこに向かうべきか考え、人や街との距離感をずっと探っています。
現在は停止している企画展などに再チャレンジしたいと思っています。

一方、茶道の稽古を続けるうちに、
「時間」の概念について深く考えるようになりました。

お茶室という空間で数時間共に過ごすために、何ヶ月も準備をする茶事や茶会。
招く相手を想い、茶会の数時間のために思考を凝らすこと。
その瞬間を亭主も客も最大限楽しむために、普段の稽古に励むこと。
おもてなしという簡単な言葉では表現できない概念や時間がそこにあります。

なにかと忙しい現代人にとって、時間を作ることはとても大変。
その貴重な時間をももとせのために割いてくださるお客さまに対して、
私たちは何ができるのか。
茶道の精神に則り、
お茶を使って空間と時間を楽しんでいただく方法を模索しています。
私たちはお茶を売っているのではなく、
ももとせで過ごす時間をクリエーションしているのです。

10年前とは大きく変わっているももとせ。
表面的な部分は随分変わりました。しかし、根っこは変わっていません。
私の中では全くブレていないのです。

これからもどんどんトライ&エラーを繰り返し、変化していくことでしょう。
次の10年はどうなっていくんでしょうね。
私たち自身も楽しみながら、また月日を重ねて行こうと思います。

最後に。
お客さまとして支えてくださったみなさま、
応援してくださったみなさま、
そして、ももとせを通して出会ったすべての方々。
みなさまのおかげでここまで歩いてこれました。
ご縁が切れてしまった方々もたくさんいらっしゃいますが、
出会ったすべての方々に感謝の気持ちを伝えたいです。

10年間ありがとうございました。
そして、これからも末長く、よろしくお願い申し上げます。

呑龍文庫ももとせ 亭主
木口和也 拝

[ももとせ]